【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー Akangbe Olayemi Ridwanさん
【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー Akangbe Olayemi Ridwanさん
遥か離れたナイジェリアの地から日本へ、
留学生・地域の人々のQOLを向上し、持続可能な社会の実現を目指す旅
1. “スタートアップ”として社会課題を解決したい
Olayemiさんは、ナイジェリアでJICAが主催するProject NINJA( Next Innovation with Japan)に関わっていたご縁で
日本への留学を決め、現在は広島大学で、環境にやさしいエネルギー技術の研究をしています。
ナイジェリアではコンサルタントとして、スタートアップを支援する側だったOlayemiさん。
「ナイジェリアには課題がいっぱいあって、課題に対して不満を言う人は沢山いるけれど、解決しようとする人は少なかったです。
だから、日本で解決の仕方を学んで、私がナイジェリアにノウハウを持ち帰りたい!
自らがスタートアップとして、課題解決する経験を積みたいと思っています!」という熱い想いを語ってくれました。
ところが大学院に入学すると、すぐにはスタートアップ設立に向かえない現状を突き付けられました。
データの取得や技術の向上など、法人設立の前にやらなければいけないことが、まだまだたくさんありました。
持ち前の愚直さで研究に向かう日々。
でも、スタートアップとして自らがサービスを立ち上げたいという想いはずっと胸に残り続けていました。
2. “もったいない”という憤り
大学の寮に住んでいたOlayemiさんは、ある日、衝撃的な光景を目にします。先輩として留学に来ていた方が帰国する日、
すっかり空っぽになった部屋の外に、まだ使えるはずの家具や家電が大量に廃棄されていました。
Olayemiさん自身も、東広島に来たばかりの時、生活に必要な物を手に入れるのに非常に苦労した経験があったからか、
すぐに「もったいない!」と強く思いました。
ゴミとして捨ててしまった方への憤りではなく、ゴミとして捨てるしか選択肢がないと思ってしまう環境や、
地域のリサイクル情報が留学生まで届いていない状況を「何とかしたい!」と感じたそうです。
そして、その家具や家電を必要としている新たな留学生が入学してくるのであれば、
安価でそれを手に入れられるようなプラットフォームを作りたいと考えました。
これが、私たちのサービス「Declutter.jp」の始まりです。
※Declutterとは、「片付ける、整理整頓」などの意味
3. 「円陣」との出会い
捨てられる家具・家電と、それを必要としている人をマッチングするプラットフォームを作る、
という構想はできたものの、実際にそれを実現するためには、仲間が必要でした。
留学生は、卒業後すぐに帰国してしまう人よりも、寮を退去しても違う場所に住む人の方が多く、
入国する留学生の家具家電の需要に比べて、廃棄される家具は少ないのが現状です。
この需給バランスのミスマッチを解消するためには、市民の皆さんからの不用品の回収が必要不可欠だと思ったからです。
しかし、Olayemiさんは日本語が少ししか話せません。仲間をつくり、東広島で一緒に課題解決を実現してくれる人が必要でした。
そんな時に出会ったのが、エジプト出身のYasminさんとこの記事を書かせていただいている広島大学4年生の尾野です。
また、ちょうど「円陣」の募集をSNSで知りました。
「円陣」は単なる助言プログラムではなく、地域のネットワークなども提供してくれるプログラムであり、
私たちのプロジェクトにはまさに必要な支援だと思って、申し込みました。
円陣のプログラムを通じて、私たちはアイデアを練り直し、仮説を検証し、伴走者から貴重なアドバイスを受けることができました。
ただ論理的なサポートを受けるだけでなく、賀茂高校の皆さんに講演させていただき、
イベントのボランティアをお願いすることが出来たり、
東広島イノベーションラボミライノ⁺で市民やサポーターの皆さんからの不用品を集めることに協力していただき、
まさに私たちに足りない部分をサポートしてもらいました。
現在、私たちはWEBプラットフォームを立ち上げ、市民の皆さんにも呼びかけた不用品の交換イベントを3回開催しました。
技術的・財政的なサポートだけでなく、より広い視点を持ち、新たな挑戦へと踏み出す力を与えてくれた円陣に心から感謝しています。
現在、私たちはWEBプラットフォームを立ち上げ、市民の皆さんにも呼びかけた不用品の交換イベントを3回開催しました。
技術的・財政的なサポートだけでなく、より広い視点を持ち、新たな挑戦へと踏み出す力を与えてくれた円陣に心から感謝しています。
4. 持続可能な社会にむけたムーブメントを起こしたい!
将来的に私たちは、持続的で温かいコミュニティを築き、
留学生も市民の皆さんも気軽に交流できる環境を作っていくことを目指しています。
「単にビジネスを立ち上げるのではなく、持続可能な社会を実現するためのムーブメントを起こしたいと考えています。
社会を変えうるビジネスへの挑戦、それができれば、母国のナイジェリアに経験を持って帰ることが出来るような気がしています。
挑戦はまだ始まったばかりですが、人々が互いに支え合い、資源を大切にしながら持続可能な暮らしを実現できるエコシステムの構築に、
これからも全力を尽くして参ります。」
取材の最後に、こうOlayemiさんは語ってくれました。
編集後記 尾野祥子:広島大学経済学部4年
私とYemiさんは、大学主催のサマープログラムを通じて出会いました。
私は当時、学生スタッフとして働いており、参加者であったYemiさんと初めてお話ししたのは、
休憩中に「どちらが出身ですか?」と声をかけた時のことでした。
Yemiさんは、大きく「YEMI」と名前が書かれたマグカップを片手に優雅に休憩時間を過ごしていたことを、今でも鮮明に覚えています。
その後、Yemiさんの卓越したコミュニケーション能力や魅力的な人柄に触れるうちに、共にビジネスを立ち上げることとなりました。
当時の私は、起業に全く関心のない学部4年生でした。
しかし、「円陣」のプロジェクトを通じて、起業の面白さや奥深さ、そしてその難しさを身をもって実感することができました。
なんと、来年からは経営大学院生です!起業家としての歩を進めていきたいと考えております。
私たちのチームは、ナイジェリア出身のYemiさん、エジプト出身のYasminさんと、非常に国際色豊かです。
多様なバックグラウンドを持つ私たちだからこそ生まれる新たなアイデアが強みである一方、言語の壁などの困難も多々ありました。
しかし、「円陣」の皆様をはじめ、多くの方々の熱いサポートのおかげで、ここまでプロジェクトを進めることができました。
この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
私たちのプロジェクトは、ここで終わりではなく、ようやくスタート地点に立ったばかりだと考えております。
これまで関わってくださった皆様に、心から感謝申し上げるとともに、今後とも変わらぬご支援・ご声援を賜れますと幸いです。