【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー 守分勇馬さん
【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー 守分勇馬さん
【規格外農産物を流通させる仕組みづくり】
守分さんはこれまで、農業生産者を支援する『農業応援隊』として、農産物卸や農業資材卸業を通じて、
生産者が抱える課題解決に取り組んできました。
その中でも特に注目されているのが、規格外野菜の活用です。
多くの生産者が規格外野菜の売り先がないと感じていますが、一方でおいしい野菜を求める消費者や飲食店も存在します。
このギャップを埋めるため、円陣プロジェクトでは、生産者と消費者、飲食店をマッチングし、
規格外農産物の販売促進と収益化を目指すプロジェクトを立ち上げました。
【農業に関心を持ったきっかけ】
守分さんが農業に興味を持ったのは、子どもの頃に祖父母の家で農業を手伝った経験がきっかけだそうです。
農作業を通じて自然と向き合いながら、収穫の喜びや食べ物の大切さを実感し、その経験から大学も農業系の学部に進学されました。
卒業論文のテーマは「規格外トマト」に関する研究で、
「この経験が現在の活動に大きく影響を与えている」と話されているのが印象的でした。
【規格外農産物の流通における課題】
生産者にとって規格外野菜はほとんどが廃棄せざるを得ない現状が続いており、守分さんはその解決策を模索する日々が続いています。
これまで、円陣プロジェクトでは以下の様な取り組みを行ってきました。
〇マルシェでの規格外野菜の販売
〇円陣交流会での規格外野菜販売
〇消費者や飲食店へ規格外野菜を届けるサービスの検討
規格外野菜は、一般的に販売されている野菜より価格的にお得に購入できるので、マルシェ等での販売は比較的容易です。
しかしながら、継続的に生産者の収益につなげる仕組みを作るためには不十分だと感じており、
市場価格は落とさずに、規格外野菜を別の販路で定期的に消費者に届ける仕組みを模索しています。
守分さんからは、「生産者にとってより良い仕組みを作りたい」という熱い想いを感じます。
【生産者さんのお困りごとを解決したい】
守分さんは本業である農業資材の卸売り活動を通じ、農家さんの現場に直接足を運び、
作業や生産状況を視察することから信頼関係の構築を始められたと語られています。
そうするうちに、現場で直接農家さんのお困りごとや悩みを伺い、具体的なサポートや提案を実施する中で、
農家さんとの絆は着実に深まっていきました。
規格外野菜の販路拡大も、農家さんの収入を少しでも増やしたいという想いが原点だそうです。
さらに、守分さんは農業分野に留まらず、一見農業と関係の薄い業種の「企業」とも積極的に連携されています。
例えば、通常は廃棄される企業の廃材を農業資材として再利用するアイデアで提携したり、
企業の福利厚生として、規格外野菜のサブスクリプション契約を締結することで、
その企業の従業員の方々に規格外野菜の存在を知っていただき、実際に野菜を届ける機会をつくることに成功しました。
結果として、店舗で購入する手間を省き、手軽に野菜を入手できる点が高く評価され、好評を得ているとのことです。
農業に直接関連しない企業へのアプローチでは、実際は話を聞いてもらえず連携が難航するケースもあり、
なかなか一筋縄ではいかないそうです。
今後は、地元企業との対話を重ね、双方にとってメリットのあるよりよい方法を模索することが重要であると守分さんは語っていました。
【今後の展開について】
今後は、さらなる地元企業との連携を目指し、以下の取り組みを計画しているそうです。
〇従業員向け野菜お届け福利厚生サービスの拡大
→地元企業のオフィスに新鮮な規格外野菜を届けることで、従業員の皆様の健康増進やSDGsへの貢献をサポート
〇出張キッチンやキッチンカー事業者への食材販売
→恒常的に生産されない規格外野菜は、不定期開催のキッチンカー等のサービスとは相性が良く、
このような新たな販路を開拓し、規格外野菜の需要拡大を図る
〇オンライン掲示板の活用
→企業間で相互にPRできるプラットフォーム等を活用し、規格外野菜やその他のリソースの価値の発信にも力を入れる
最後に守分さんからのメッセージを掲載します。
「規格外野菜の認知度はまだ高いとは言えない状況ですが、フードロス削減などの観点からも今後継続していきたい大切な事業です。
規格外野菜に対するこれまでのイメージを払拭するべく活動していきます。
お野菜が作られる過程を体験いただくことで、規格外野菜への理解も深まると思っているので、
野望としては、すべての人が人生のどこかで農業に関わる時間を実現していけたらと思っています。ぜひ、畑に行ってみてください!」
【編集後記】
モノの価値を見直す事業
守分さんの活動量の多さに驚かされました。
農家のみなさんだけでなく、企業を訪問して提案したり、アイデアを考えたり、視野広く活動されているなと感じました。
規格外野菜は「廃棄されているから価値がない」という考えを見直す事が必要な時なのではと思いました。
最後になりますが、個人的に話を聞くことは得意ですが、文章にするのは、なかなか難しい作業でした。
みなさんにポジティブな印象をもってもらえる文章になっていれば、今回の取材は成功だなと思っています。
(取材 円陣サポーター: 田中佳幸)