地方におけるイノベーション創出とは~産学連携のミライへ向けて
3回シリーズ!新たな産学連携のカタチ
第3回「地方におけるイノベーション創出とは~産学連携のミライへ向けて」を開催しました。
1月21日(土)に東広島市産学金官連携推進協議会が主催するイベントがミライノ+で開催されました。
東広島市産学金官連携推進協議会は、平成20年度から活動を開始し、東広島市における産学金官連携の推進するため、地域の産業振興及び経済発展に寄与する活動に取り組んでいる団体です。
そんな本市の産学金官連携を推進するために、開催したイベントです。
中小企業をはじめとする各団体が、持続的成長を実現するための「両利きの経営」の重要性や、大学における研究成果を元にした起業(スタートアップ)支援の仕組み、弁護士(士業)の立場からの産学連携や起業家教育への実例を紐解きながら、地方におけるイノベーション創出を討議していきました。
※イベントのファシリテーターは合同会社イキナセカイ 神戸大学客員教授の安川幸男氏にお願いしました。
ゲスト登壇者に 神戸大学大学院 経営学研究科教授 忽那 憲治 様
北海道大学 産学連携推進本部スタートアップ創出部門 産学協働マネージャー 千脇 美香 様
アーカス総合法律事務所 弁護士 寺田 有美子 様にご登壇いただき
ご講演のあと、座談会を行いました。
神戸大学大学院 経営学研究科教授 忽那 憲治 様
イノベーション創出に大事なのは「両利きの経営」です。中小企業ももちろんですが、産学金官のどの主体でも、変革していくこれからの時代を生き抜くために必要なことです。
両利きは左右どちらも利き手であるかのように自在に使えることから、両利きの経営は既存事業を持続的に深めていく「知の深化」だけでなく、新規事業を開拓する「知の探索」の両輪を同時に回していくという考え方です。将来を見据えた次の柱を準備することが重要とされております。
これまでの産学金官連携のイベントでも講演いただいたように、機械メーカーの事業を継続しながら、産学連携を活用してメディカル事業に進出するなど、「知の探索」と「知の深化」のバランスをとったイノベーションストリームが起こっている事例とも言えます。
イノベーションにも種類があり、日本が得意とする改善を追求する持続的イノベーションのほかに、既存の概念を破壊する、まさしく「知の探索」に繋がる破壊的イノベーションやこれからの時代SDGs、ESGで重要なアプローチとされる無価値再生イノベーションなどを学び、これからの時代、特に本市のような地方都市において変革を起こしながら生き続けていくための筋道をみることができたと思います。
※神戸大学大学院 経営学研究科教授 忽那 憲治 様 。穏やかな雰囲気で丁寧にお話をしていただきました。
北海道大学 産学連携推進本部スタートアップ創出部門 産学協働マネージャー 千脇 美香 様
北海道大学の産学協働マネージャーである千脇氏はもともとJAに所属されておりましたが、農業がやりたいという思いが強く北海道に足を踏み入れたとのことです。
その後、北海道大学に所属し北大テックガレージという学生のモノづくりを支援するプログラムをはじめとした学生の起業支援や研究者の起業支援に取り組まれております。
北海道大学発認定スタートアップ企業を売り込むために、まさしく芸能マネージャーのような働きをされているとのことです。
どうやって北海道大学発認定スタートアップ企業を売り込むのか、ひいてはどうやって北海道からこの企業・技術を世間に知ってもらうかを考えて動かれております。いままで既存の団体しか参加できていなかったイベントへの参加交渉やイノベーターが多い地域のとの連携などをすすめどんどんアピールをすることに成功しているとのことです。
大学での産学協働マネージャーが行うことは様々です。大学教員の兼業に関すること、利益相反に関すること、起業の際のビジネスモデル、創業者間契約、株式の売買、資金調達などなど…
そんな支援者として大事なことをお聞きすると「自分もチームのメンバーになった気持ちで寄り添うこと」そして「協力者をたくさんつくり、困ったことは人に聞くこと」とのことです。
※北海道大学 産学連携推進本部スタートアップ創出部門 産学協働マネージャー 千脇 様。 チームのために動く熱意たっぷりなご講演をいただきました。
アーカス総合法律事務所 弁護士 寺田 有美子 様
寺田氏は弁護士であるとともに、大学の教員や企業の社外役員など様々なところでご活躍されております。そういったなかで、仕業の立場で取り組んでいる企業やベンチャーへの支援、そしてそこにどう大学や学生が絡んでいくのかをメインにご講演いただきました。
ここで重要なアクションは「教える」「関わる」「繋ぐ」「伝える」の4つです。
まず学生との関りですが、神戸大学、関西大学、北海道大学など多くの大学と連携し、アントレプレナーシップ教育の傍ら、学生へのメンタリングやキャリア相談などを行うとのことです。
またベンチャー企業や中小企業などとの連携も同じく「教える」「関わる」「繋ぐ」「伝える」を大事にするとのことです。
日本の団体はもっと法務部、法務担当部局の活用をしたほうが良いとのお話がありました。これは日米でも大きく活用に差があり、それがそのまま売上成長率にも連動しているとのことでした。
また弁護士とのかかわり方の豆知識として、気持ちよくサポートしたくなる人の特徴として、勉強してくる、ポイントをまとめている、アドバイスの結果を報告してくれるというお話もあり、ここでも互いを思いやるということが重要と分かります。
また女性活躍・役員雇用にも触れていただき、ものごとを考える際のアンコンシャスバイヤスの厄介さを教わることができました。
※アーカス総合法律事務所 弁護士 寺田 有美子 様。様々な経験や事象をわかりやすくご説明いただきました。笑顔がとてもすてきでした。
その後の座談会では、大変和やかな空気で行われました。
本日は登壇者の方だけでなく、参加者のみなさんも多種多様な職種の方がいらっしゃいましたので、たくさんのテーマで質問が飛び交っておりました!
ジョブ理論の考え方について、女性活躍社会について、イノベーションエコシステムについて、組織の中のマネジメントの相談など時間が足りませんでした。
参加者のみなさんも産学連携を身近に感じていただいた内容の濃い時間となりました!
※大変穏やかな空気の座談会でした。参加者からもいろいろな質問が出ておりました!