【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー 西川和子さん
【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー 西川和子さん
“Dear Me” 悲しみに寄り添え合える優しい社会を作る
Mere Floren(メア フローレン代表)
2023年に続き2024年度第二期、東広島独自の共創型起業プログラム“円陣”。
東広島市では地域が抱える様々な社会課題を解決するため、多様な主体による取り組みを連携の図り
それを事業プランにビジネス的手法として磨き上げ、具体的な実践に繋げていくことを目指していくプロジェクトです。
本年度の円陣プレイヤーとして活動する西川和子さんは、精神的・社会的孤立に対する花や緑を通したグリーフケアで、
悲しみに寄り添え合える優しい社会に向かうことを目指しています。
*グリーフケアとは大切な人の死別、喪失体験(離婚、流産、失業、災害など)をした人が抱える
深い悲しみ(グリーフ)に寄り添い、心のケアをすること。
【花のちから】
西川さんがこのプロジェクトを目指したきっかけは、17年前にご自身のお母様を亡くされ休職されたことがきっかけでした。
西川さん自身も核家族で、あまり近所付き合いもなく自分の悲しみを打ち明けることができなかったそうです。
そんな時にお墓参りのために買った花に自分が癒されたことに気づき、そこから花を生けたり、土をいじる時間が増え、
徐々に自分の体調が回復していきました。
また西川さんは、看護師として長年勤められています。
その中でたくさんの方を看取ってこられましたが、コロナ禍で大切な人を看取ることができない方は、
通常以上の深い悲しみとストレスだと痛感。
改めて今こそグリーフケアが広まる必要性を感じ、自分が花で癒されたこと、
花という自然の摂理を通して悲しみを癒していきたいとこのプロジェクト実現を目指しました。
【活動を通して見えてきたこと】
プロジェクトの活動を通して気づいたことは、グリーフとは大切な人を亡くす死別だけではなく
離婚や失業、災害、病気、自分を大切にできないという心の苦しみなどいろんなグリーフが存在するのだということ。
そこでまずは、自分を大切にするというコンセプトでワークショップを開催してみました。
参加した方からは、
「花を育てたり世話をすることが自身のケアにつながる」
「花を通して自然に会話がうまれリフレッシュにもなった」
「改めて死生観、人生観について自分の視点では見えない面に触れて視野が広がった」
「花の心を癒す力を感じた」
「普段言えないことや考えないこと、自分の本音を感じることができた」との感想をいただきました。
“Dear Me“というコンセプトに象徴される「自分を大切にすること」が、他者を大切にする一歩になり、
お互いが労うことで優しい社会になっていくと感じられたそうです。
Instagramでも積極的に活動内容やご自身の思いを発信されています。西川さんの投稿で、印象に残っている記事があります。
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コロナ病棟で防護服を着て働いていた頃
あの頃はまだワクチンもなく
新型ウイルスが謎だらけだった頃
人の最期に不条理を感じました
突然の入院、隔離、急変する患者、
フェイスシールド越しにしか合わない視線、
家族にも看取られることなく…
私は複雑な気持ちで看護するなかで
ご遺族に寄り添うこともできず
解せない辛い日々でした
そして休日のある日、
庭の土を天地返ししながら無意識に仕事のことを考えていて
ふと
咲いた花に急に風が吹いて、折れてしまったり
花を咲かせず枯れてしまう花があったりするように
人の生命も同じように不条理があるんだなぁと
ぼんやりそんな考えが浮かんできて
嘆いてもそれが自然の摂理なんだなぁと思えた時
すーっと心が解放されたんです
花にみる死生観
それが私のグリーフケアの根源になりました
〜Instagramから〜』
今後は「グリーフケア」という枠に留まらず、「“Dear Me“=自分を大切にする」というコンセプトで、
メンタルヘルスの一環として企業にも提供していけるのではないかと西川さんは感じています。
“「グリーフケア」を「知って」「感じて」「意識的に実践」してもらうことで、
他者の悲しみにも寄り添え合える優しい社会になることを信じて活動していきます。“
そう語ってくれた西川さんの言葉が心に残りました。
【編集後記】
私自身、グリーフケアという言葉を西川さんのプロジェクトを通して知りました。
そして私自身が「生きづらさ」や「孤独」を抱えて、生きることが苦しいと感じながらの人生だったので、
改めて自分ごととして考えるきっかけにもなりました。
インタビューをしながら感じたのは私のような「生きづらさ」も一つのグリーフなんだと感じ、
人はみんな何かしらのグリーフを抱えて生きているのではないかと思いました。
西川さんのプロジェクトの様な活動が広がれば、争いのない、自分にも他者にも優しい、
人も心も共創し合える社会になるのではないかと感じました。
(取材:丹下ゆかり)