大世渡渉OOSEDO WATARU

PROJECT
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【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー 大世渡 渉さん

【円陣プレイヤー紹介記事】 円陣プレーヤー 大世渡 渉さん

アートで支える未来

~大世渡さんが挑戦する、障がいを持つ人や生きづらさを感じている人たちを支えるための新しい仕組み~

大世渡さんは、障がいを持つ人や生きづらさを感じている人たちと一緒にアート作品を作り、
社会とつながる仕組みを作る活動をしています。

このプロジェクトでは、アーティストの作品を他のサービスに取り入れるプロデュース業や、
アーティスト自身がイベントに参加し、お客様と直接交流できる場を提供し、お金の面でも心の面でも、
自立できるようにサポートしています。

さらに、展示会やワークショップを開催し、アーティストが作品を作るだけでなく、
人とつながり、共感や応援を得られる環境を整えています。

大世渡さんは「アートには人の心を癒すことができ、新たな可能性を引き出す力がある」と語ります。
一人ひとりの得意なことや才能を大切にしながら、アートを通して社会とつながる活動を続けています。

 

原体験 ~ 鬱の闇の中で見つけた一筋の光

大世渡さんは26歳の頃、京都の大学病院で理学療法士として多忙な日々を送っていました。
しかし、仕事の責任やプレッシャーに追われ続ける中で、心身ともにキャパオーバーとなり、ついには体調を崩してしまいます。
「ベッドから出られない。起きられない。外に出ることもできない……。消えてしまいたい。」

そんな絶望の中で6年間を過ごしたある日、偶然SNSで目にした一枚の「絵」に強く心を惹かれます。
それは作品に引き込まれるような、心に深く響く体験でした。

何かに引き寄せられるように、その作品の制作者と交流を持つようになり分かったことは、その方は障がいを持つアーティストということ。
「この絵にパワーを貰った」と感じた大世渡さんは、障がい者アートが持つ力を実感します。

アーティストが心の内に秘めているパワーが、言葉ではなく、色や形が語るメッセージとして、自分の心の奥深くに届き、
少しずつしんどさから抜け出すきっかけとなったのです。

この経験が、大世渡さんのプロジェクトの原点となりました。
自分が障がい者アートから生きる力を受け取ったように、今度はそのアートを通じ、
生きづらさを感じている人や障がいのある人たちを支えられる仕組みや、繋がることができる場所を作りたいと思いました。

 

円陣への参加 ~ 運とご縁とタイミングが導いた共創の場

大世渡さんは、かつて個人の障がいアーティストと共に活動していましたが、
作家との仕事に対する熱量のズレを感じ、約3年前に一度休止していました。

しかし、2024年5月、六本木で目にしたヘラルボニーのポップアートに強く感銘を受け、
更に帰りの成田空港でも作品展示を見ることができ、「やはり自分は、障がい者アートを広める活動がやりたい」と、改めて思い直します。

同じ時期、たまたま西条郵便局へ用事で出かけた先に、目の前に新しい施設「ミライノ⁺」を見つけ、
好奇心旺盛な大世渡さんはふらりと立ち寄ります。
そこで今井さんと出会い、ヘラルボニーのアート、自分のやりたいプロジェクトの話で意気投合。
運とご縁とタイミングが重なり、大世渡さんは「ミライノ⁺」に通う機会が増えていきました。

大世渡さんは、自分一人で何かを成し遂げるよりも、「誰かをサポートしながら、共に創り上げること」 に喜びを感じるタイプ。
そして、自身が取り組む障がい者アートの活動と地域課題が見事にフィットしていることも実感しました。
そして「みんなで共同で何かを作り上げる」という円陣のスタイルに共感し、参加を決意します。
気づけば、多くの人とのつながりが生まれ、紹介を通じてどんどん輪が広がっていきました。


安芸津のdachs farmにてサポーターの方々と創り上げた作品を展示(写真)

 

ハダシランドにて伴走者の三由さんとアーティストのオカピー氏と(写真)


黒瀬にて子ども体験のお仕事体験あいうえおを(写真)

未来に向けて ~みんなが楽しい空間を生み出すために~

大世渡さんが目指すのは、当事者がサービスを通じて 「マイナスから0へ、0からプラスへ」 と進んでいくこと。
そして、その人が 「夢のように思えることでも、本当に達成できる」 ように伴走し、成功体験を積み重ねていくことです。
例えば、CDカバーを描きたいという夢がある人には、実際に書けるようにサポートし、その成功体験を通じて、
「私でもできる」⇒「私だからできた!」 という自己肯定感へとつなげます。

この変化を見せることで、次に続く人が生まれ、「私にもできるかな?やってみようかな?関わってみようかな?」
という循環が生まれていく。その循環を生み出すことが、このプロジェクトの基盤となっています。

まずは、3年で事業を日本全国に根付かせることを目標に活動を展開する。
そして、10年後には、アーティストに限らず、その人の「得意」を活かして仕事ができるような仕組みを作り、
誰もが自分の力を発揮できる社会を目指します。

当事者、スタッフ、サポーターが力を合わせ、関わるすべての人が楽しいと感じられる空間を生み出すために、
大世渡さんの挑戦は、これからも続いていきます。


山口県にて初のピッチ登壇(写真)

広島空港のイベントの打ち合わせで広島国際大学の学長清水先生と(写真)

編集後記
インタビューの最後に、大世渡さんから メッセージを頂きました。
「自分のしんどかった経験は、未来の自分に役立つし、それが誰かの背中を押せることもある。
そして、今もしんどさの中にいる人も抜け出すきっかけになるかもしれないから、一緒に何かやりましょう!」

そんな想いのもと、3月29日・30日、広島平和80周年記念事業の一環として、「アートで灯す世界」 をテーマにしたアート展示が、
広島空港で開催されます。

就労支援施設などの出店を含めた40店舗によるアート展示と空間演出、
さらには大きな窓ガラスへのペインティングも加わり、参加者全員の創造力が一堂に会する特別な展示が実現します。

去年、成田空港で見た景色やその感動を、この春にご自身が実行委員として 「創り出す」 ことができる。
この現実創造力こそが、大世渡さんの魅力だと感じました。

柔らかい物腰で、ついつい心を開いてしまうおおらかさ。けれど、その内に秘めた強い行動力。
6年間もしんどい時期を過ごし、人生を諦めかけた経験をされているからこそ、力強さを感じます。
大世渡さんを見ていると、「私も見習いたいな」と思わずにはいられません。
この先の大世渡さんの挑戦を、ぜひ見届けたいと思います。

(取材:石井美奈子)

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